天下の奇祭 大瀬まつり 4月4日(木)開催

駿河湾に春の訪れを告げる「天下の奇祭」

沼津市我入道にある「循環ワークス」山本広気さん提供

「ちゃんちゃらおかし、ちゃらおかし」

「ちゃんちゃらおかし、ちゃらおかし」
陽気な掛け声と共に、漁船の上で踊り舞う、静岡県沼津市の大瀬崎で開かれる「大瀬(おせ)まつり」をご存知だろうか。
明治から続く、「天下の奇祭」とも称される伝統行事である。

毎年4月4日。土日も平日も関係なく、必ず4月4日に、春の訪れを告げる「天下の奇祭」は幕を上げる。

大瀬祭りはどんな祭り?

沼津市facebookより

大瀬まつりが奇祭と呼ばれるゆえんは、全ての漁師をはじめとした男性乗船員が女装をすることにある。漁師のみならず、近隣一帯の青年団や水産関係者、地元市役所の男たちも参加して祭りを盛り上げるが、彼らにも例外はない。

普段は船に乗って沖に出る屈強な男たちが、顔にオシロイを塗り、唇に口紅を乗せ、女性用の白い襦袢(じゅばん)と、赤やピンクの華やかな着物を身に纏い、船の上で『ちゃんちゃらおかし、ちゃらおかし』と踊る様はまさに「奇祭」と呼ぶにふさわしい迫力だ。

なぜ女装をするのか?

沼津観光ポータルより

一体なんのために女装をするのだろうか?
大瀬神社に祭られている神様は男神の「引手力命(ひきてちからのみこと)」とされている。
かつて女性は乗船できない習わしがあった時代に、女装した男が船上で賑やかに舞踊して男神を喜ばせ、航海の安全や大漁を祈願したことが起源のようだ。 

大瀬神社に奉納

富士山周辺公園ガイドより

大瀬神社の「引手力命(ひきてちからのみこと)」は名前からして「引き」の神様。古くから漁師の信仰を集めていたことは想像に難くない。
静浦・内浦・西浦等の近隣のみならず、近隣の蒲原・由比といった様々な地区からも、大漁旗で飾られた踊り舟に乗り込んだ女装した男衆が、大瀬神社を目指す。

「ちゃんちゃらおかし!ちゃらおかし!あのこのしゃっつら、まだおかし」

男衆は、ひたすらこのお囃子に合わせて「勇み踊り」を踊り狂う。
たしかに、神様も沸き立ちそうな騒ぎっぷりだ。

8時ごろに祭りが始まると、踊り舟が内浦漁港の港内を3周してから湾へと向かい、大瀬神社を目指す。

勇み踊り

沼津観光ポータルより

踊り舟が大瀬に到着すると男衆による神社への参拝がはじまる。

神社への奉納の風景は一般的だが、女装した男性が参道に列をなして進む様子は、ここでしか見られないものであろう。
参拝を終えた男衆は、地上でも「勇み踊り」を披露し、乾物や豚汁に甘酒や日本酒を振る舞う。ここでは観光客が漁師たちに接触するチャンス。気さくな男衆であれば写真撮影に付き合ってくれることもあるだろう。
大瀬でのひとときを終え、男衆は踊り舟に乗って内浦漁港に帰っていく。

カメラ好きの方々にとっても「天下の奇祭」は興味をそそられるようで、大きなカメラを抱えてシャッターチャンスを待つ人たちも。踊り船で岸壁に近づくとき、船を降りるときなど、注目が集まる瞬間は男衆にとっても高揚する瞬間となっているようだ。

みんなでおかしい、ちゃらおかし

富士山周辺公園ガイドより

まつりの後はあっという間に静けさを取り戻す漁港周辺。
でも、目を閉じれば女装した男たちが勇み踊りする姿がまぶたの裏に焼き付いていて、
耳を澄ませばあの囃子が聞こえてくる。

「ちゃんちゃらおかし!ちゃらおかし!あのこのしゃっつら、まだおかし」

夢か現実かあいまいになるような、奇妙な光景があなたを待っている。

この記事を書いた人


てらだ ゆうすけ
Terada Yusuke

学生時代は和太鼓の演奏活動に取り組みアメリカのカリフォルニアディズニーランドで初の海外滞在を経験。
その後マレーシア、タイ、ラオス、ミャンマー、スリランカ、スペイン、フランス、オランダ、メキシコの北半球10ヶ国を訪問。多分野のエキスパートと交流を持つ。帰国後は三島市商業観光施設案内紙「ぴょんぴょんみしま」を自主発行。

ichigo-chan

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